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stitch. ISSUE 03|袋

12 hours ago
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#03|袋

包む、運ぶ、携える。暮らしの中にあるカタチ



かばんの前に、袋があった。

ものを入れる。包む。持って歩く。

今では当たり前のように使っている「かばん」も、

そのずっと前から、人は暮らしの中でものを守り、運ぶための形を考えてきました。


箱や籠、袋。そして、一枚の布。

何を入れるのか。どこへ持っていくのか。どうやって持つのか。


暮らしが変わるたびに、その形も少しずつ変わってきました。

今月のstitch.は、そんな「袋」について考えます。


包む。

日本には、一枚の布でものを「包む」という知恵があります。

中身に合わせて形を変え、使わないときには小さく畳む。

決まった形を持たないからこそ、いろいろなものを受け止めることができる。

風呂敷も、そのひとつです。

袋は、最初から今のような「かばん」の形をしていたわけではありません。

ものを大切に扱うこと。そして、持ち運ぶこと。

そんな暮らしの動作の中から、少しずつ形が生まれてきました。


包む布から、持つ袋へ。

その知恵を感じるもののひとつに、あずま袋があります。

長方形の布を折り、縫うことで、一枚の布が「持つための袋」になる。

風呂敷が結ぶことで形をつくるのに対して、

あずま袋は縫うことで袋の形を保ちます。


中身に合わせてふくらみ、使わないときには平らになる。

複雑な構造ではありません。


けれど、その簡潔な形の中には、

布を生かすこと、持ち運ぶこと、暮らしの中で繰り返し使うこと。


昔の人の知恵が残っています。


あずま袋の成立や名称には諸説があり、京都発祥と確認できるものではありません。

一方で、反物の長方形を生かすことや、

端布・着物地を仕立て直すこと、包んで運ぶという考え方は、

京都の染織や和裁、風呂敷の文化とも重なります。


暮らしの動作が、形を残す。

袋の形を見ていると、その向こうに、人の動きが見えてきます。

入れる。取り出す。結ぶ。閉じる。提げる。肩に掛ける。


人が繰り返してきた何気ない動作が、少しずつ道具の形をつくってきた。

あずま袋が中身に沿ってふくらむのも、

がま口が大きく開き、「パチン」と閉じるのも、

そこには、使う人の動作があります。


だから私たちは、昔の道具を見るとき、形だけを見るのではなく、

「なぜ、この形になったんだろう。」

と考えてみたいと思っています。


京都は、仕立て直す。

京都と袋の関係も、「京都でこの形が生まれた」というひとつの話だけでは語れません。


染める。織る。縫う。金具を合わせる。


さまざまな技が近くにあり、外から入ってきたものも取り入れながら、

その時代の暮らしに合う形へと変えてきました。

変わらない形を守り続けるというより、

大切なところを残しながら、今に合う形へ仕立て直す。


私たちは、そこに京都らしいものづくりのひとつの姿を見ることができます。


布の知恵を、革で仕立てる。

京都山本製革店にも、あずま袋の形から着想した革の袋があります。

そのまま昔の形を再現したいわけではありません。

私たちが惹かれたのは、その形の中に残っている理由です。


中身をやわらかく受け止めること。

身体に沿うこと。

持ったときに自然な形が生まれること。


布から生まれた知恵を読み取り、今度は革という素材で仕立ててみる。

布とは違う厚みがあり、手触りがあり、使うほどに表情も変わっていく。

同じ形でも、素材が変われば、また違う「袋」になります。


現在の革袋シリーズも、巾着や手提げ、風呂敷などの袋物の発想を

現代の暮らしへ置き換え、革で仕立てるという考えから生まれています。


昔の形を、そのままにしない。

昔からあるものだから、つくる。

それだけではなく、


なぜ、その形が残ってきたのか。なぜ、人はそれを使ってきたのか。


そこにある理由を知ることから、私たちのものづくりは始まります。

昔の暮らしの中で生まれた知恵を、今の素材で、今の暮らしへ。

そして、これから誰かが使うものへ。


包む。運ぶ。携える。


その何気ない動作は、時代が変わっても、私たちの暮らしの中にあります。

その動作から生まれた形を、京都で、もう一度仕立てる。

それが、私たちが考える「袋」です。



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